職業によって保険加入に制限がある?理由や入りにくい職業について解説
ふだん何気なく生活している中にも、思わぬリスクが隠れています。病気やケガ、介護などは自分にもいつ起こるか分からないため、保険に加入して備えておきたいものです。しかし、職業によっては自由に保険に入れないことがあります。今回は保険に入りにくい職業とその理由について解説しましょう。
危険な職業は生命保険に加入できないことがある
保険は「相互扶助」という考え方で成り立っています。自分や家族のリスクに備えてみんなで保険料を出し合って、もしものことが起これば集まった保険料から保険金を支払うことでお互いに助け合うという仕組みです。
通常、同じくらいのリスクを持った人のグループで保険料を集めれば、保険金を受け取る確率は同じくらいになります。しかし、持病を持っていたり、年齢が高かったりする人がいる場合は、グループの中でその人だけが保険金をもらう確率が高くなってしまうでしょう。
保険料を等しく支払っている中で、特定の人が何度も保険金をもらっていれば不平等に感じます。また、集まった保険料以上の支払いが生じれば、保険会社からの持ち出しとなってしまい、赤字を招きかねません。
そのため、保険はどんな人でも自由に加入できるものではなく、加入するときにこれまでにかかった病気や手術の有無、妊娠しているかとその週数、職業に加え勤務先も告知する義務があります。
保険会社は告知内容をもとにして加入できるかの審査をするため、入院や手術をして間もなくであったり、危険がともなう職業であったりする場合は生命保険に加入できないことがあります。
加入できてもリスクが高い人には、保険料を高く設定することで公平な負担に近づける方法もあります。
加入制限がかかる職業もある
職種や作業内容によっては、保険の加入や支払われる限度額に制限がかかることがあります。同じ保険会社であっても加入できる保険とできない保険があったり、保険料が高くなったりします。職業ごとのリスク設定はそれぞれの保険会社によって異なっており、リスクの度合いが等級として定められています。
リスクの低い職業とは
リスクの低い職業に分類されるのは、仕事で危険なものの扱いがない、環境としてリスクが低い職業です。ある保険会社では、リスクの低い職業には一般事務員や営業職などが割り当てられています。
3段階に分けている保険会社では、もっともリスクの低い職業は管理職や事務員、医師、歯科医師、弁護士、教師、飲食店主などです。
中等度のリスクがある職業
中等度のリスクとしては看護師や美容師、介護福祉士、縫製作業者、郵便配達員、時計組立工、電車運転士なども分類されます。
比較的、直接人に触れたり、器具器材などを扱ったりする職業が含まれます。土木業者や鉄道線路作業者などは、作業内容によって保険会社により中等度や高度など分類が異なることがあます。
リスクの高い職業とは
金属プレス工や警備員、建設機械運転工、馬調教師、パルプ製造工、危険物を扱う研究者・電気技術者などです。職場で危険物や大型機械などを扱う職種がリスクの高い職業とされています。
また、パイロットやボクサー、山岳写真家などの職業もリスクが高いとされているため、加入ができる保険商品が限られていたり、加入ができても割増料金がかかったり、限度額が引き下げられたりするなど何らかの制限がかかることがあます。
職業によって生命保険に加入できなかったときはどうする?
もし就いている職業が原因で生命保険に加入できないと言われたらどうしたらよいのでしょうか。先ほども述べたように、リスクの解釈や職種のリスク分類は保険会社により差があります。
ある保険会社では加入できなかったとしても、違う保険会社に相談したら加入できたという人もいます。1か所で諦めずに、複数の会社で見積もりをとったり、いろいろな会社の保険商品が一度に見られる窓口に相談したりしてみましょう。
最高限度額が希望に満たない場合には、2か所以上で契約することもできます。また、社会保険や年金などの国が保障してくれるもの、労災や雇用保険など会社が保障してくれるものも。こうした保障がベースとなり、個人で入る生命保険や損害保険は上乗せ部分になります。
自分に万が一のことが起こった場合に、国や企業からどのくらいの保障があるのか、上乗せはいくら必要なのかを考えてみましょう。いろいろな制度がからみ合ってきますので、FPに相談し、家計とのバランスを検討するのもおすすめです。
まとめ
この記事では、職業によって保険への加入が制限されることについて、その理由と対策について解説しました。万が一のことは起こらないのが一番ですが、日常生活の中にもさまざまなリスクがあります。いつ自分や家族に病気やケガが起こってもおかしくありません。自分の職業が制限の対象となっていても、そうしたリスクの高い職種の人こそ日ごろからしっかりと備えておく必要があります。また、保険料が高くなるからと職業を偽ることは絶対にしてはいけません。告知義務違反とみなされてしまうと、必要なときに保険料が支払われなかったり、最悪、保険契約そのものが無効とされ契約が解除されてしまったりする可能性があります。不安があっても、告知は必ず正確に行いましょう。保険を考えることは自分の人生と生き方を考えることです。FPや保険商品の窓口でプロに相談しながら、今後のライフプランを考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。